RCEPは日本に経済的機会と外交的な突破口をもたらす
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【1月20日 東方新報】地域的な包括的経済連携(RCEP)協定が2022年1月1日に発効し、世界最大規模の経済圏が出航した。RCEPは日本、中国など15か国で構成された協定で、域内人口が約22億7000万人、世界全体の3割を占め、国内総生産(GDP)が25兆8000億ドル(約2946兆円)に達する。協定発効後、加盟国間の貨物貿易の90%以上の関税が削減され、域内貿易の急速な成長をけん引する。RCEPは、関税の削減と同時に原産地の原則、税関手続き、検査検疫などの各国のルールの統一を推進し、貿易コストをさらに下げることができる。
輸出は新型コロナパンデミック期に、日本経済の安定を支えてきたが、経済環境の悪化に伴い、日本の輸出はますます大きな圧力に直面している。RCEPは日本の輸出の成長エンジンとなる。国連貿易開発会議(UNCTAD)はRCEPにより東アジアが「世界貿易の新たな中心になる」と予測しているが、日本は「輸出が2019年より5.5%増加」し、最大の受益国になる可能性がある。RCEPを通じて中国と日本が初めて自由貿易協定(FTA)を締結し、アジア太平洋地域の自由貿易のレベルを高めた。中国が日本から輸入するボイラー、車両及び部品、光学機器、写真用機器、医療機器などの製品はいずれも過渡期後に関税ゼロを実現し、日本の輸出と製造業企業が利益を得るようになる。
貿易コストの低下は、貿易額の増加を後押しすることができ、各国の産業の優位性をさらに発揮させることができ、それにより域内各国間の産業統合を促進する。中国は「対外貿易産業チェーン・サプライチェーンの安定と円滑化を保障する」ことを今年の重点経済目標の1つに掲げており、RCEPは中日の産業協力の強化にきっかけを提供した。中日はいずれも製造業大国で、この分野で強い相互補完性がある。RCEPの助力を借り、日本は電機・電器などの競争優位産業の中国国内の異なるニッチ市場への進出を推進し、中国の製造業との深い融合を加速させることができる。
RCEPの発効は、日本の家計消費や農業・食品工業にも恩恵が及ぶ。日本はRCEPの枠組みの中で、日本の家庭が日常的に必要とする野菜かき揚げ天ぷらや中華丼、冷凍エビなどの輸入関税を引き下げる。日本酒、ホタテ貝、箱飯は日本が中国に輸出する主な商品で、日本の農業漁業従事者や関連企業の収入も着実に伸びる。
日本はRCEPの枠組みの中で、中国、韓国、東南アジア諸国との経済貿易協力を強化し、経済外交の行き詰まりを打破することができる。欧州と北米に比べ、東アジア、東南アジア諸国の経済成長の潜在力はより大きい。各国の制造業システムの改善と産業構造の調整が加速し、日本の外部経済環境の改善にも役立つ。RCEPがもたらす「アジア進出」のチャンスを把握するには、日本は投資、貿易などの方面の政策調整を加速し、アジア各国の科学技術、金融などの分野での協力により積極的に参与する必要がある。
日本は環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)における影響力を利用し、RCEP加盟国とCPTPP加盟国のためにより多くの対話と協力のプラットフォームを構築し、2大新生代の自由貿易協定の相乗効果により、相互に促進させることができる。(c)東方新報/AFPBB News