【1月19日 AFP】香港のペットショップのハムスターが新型コロナウイルス検査で陽性反応を示したことから、小動物の大量殺処分が決定されたことを受けて、当局は19日、怒りの声にさらされた。

 香港は中国本土と同様、「ゼロコロナ」戦略を進めている。あるペットショップで販売されたハムスターと従業員が新型コロナウイルス検査で陽性反応を示し、香港では少なくなった変異株「デルタ株」への感染が判明したことを受けて、当局は18日、ハムスターをはじめ、チンチラ、ウサギ、モルモットなどの小型哺乳類を「予防措置」として殺処分すると発表した。

 当局は、同店で販売されていた約1000匹に加え、他のペットショップ数十店の約1000匹のハムスターを処分する方針で、昨年のクリスマス直前の12月22日以降に小型哺乳類を購入した人に対し、対象となるペットを手放すよう「強く要請」している。

 公立動物管理センターの前にいた男性は19日、AFPに対し、購入したばかりで「プディング」と名付けたハムスターの殺処分について、10歳の息子が慰めようのないほど悲しんでいると語り、ピンク色のケージの前で泣く息子の動画を見せた。ただ男性は、同居している高齢の両親が心配だったとして、「政府がここまで深刻な問題としている以上、選択の余地はない」と話した。

 香港の動物愛好家は危機感を示し、オンライン署名サイト「チェンジ・ドット・オーグ(Change.org)」には、殺処分の中止を求める署名が1日足らずで2万3000筆以上集まった。

 今月1日にハムスターを購入したという女性は19日、現地メディアに対し「ハムスターは誰にも渡さない、私を殺さない限り」と述べ、当局の方針に強く反発した。

 世界保健機関(WHO)は、香港のハムスター殺処分に関する質問を受けた際、一部の動物が新型ウイルスに感染する可能性はあり、また動物から人間への伝染も起こり得るとの見解を示した。WHOのマリア・バンケルコフ(Maria van Kerkhove)氏は「リスクは依然低いとはいえ、それはわれわれが常に留意していることだ」と述べた。(c)AFP