【1月10日 AFP】アフガニスタンの著名な大学教授で、強権的なイスラム主義組織タリバン(Taliban)の暫定政権を公然と批判してきたファイズラ・ジャラル(Faizullah Jalal)教授が8日、首都カブールでタリバンに拘束された。

 ジャラル教授は、昨年8月にアフガン全土を掌握したタリバンへの批判をテレビで繰り返していた。

 タリバンの報道担当者ザビフラ・ムジャヒド(Zabihullah Mujahid)氏は、ジャラル教授がソーシャルメディアに「体制への抵抗を扇動しようとする」投稿を行ったとツイッター(Twitter)で説明。「他者の尊厳を傷付ける(中略)無分別な発言をまねる者が出ないようにするため拘束した」と述べた。

 ジャラル教授の娘で、米ジョージタウン大学(Georgetown University)特別研究員のハシナ・ジャラル(Hasina Jalal)氏はAFPの電話取材に、問題とされたのはタリバンがアフガン国民をロバとみなしていると非難したツイートで、偽アカウントから発信されたものだと語った。「タリバンは国内で影響力のある人物を黙らせるために、こうした投稿を利用しているだけだ」

 ジャラル教授とは連絡が取れておらず、所在も不明だという。

 50代のジャラル教授は法学と政治学が専門で、カブール大学(Kabul University)で長く教壇に立ってきた。以前からアフガン指導者を批判してきたことで知られ、旧ソビエト連邦によるアフガン侵攻の際には投獄された経験を持つ。

 最近、テレビ番組でジャラル教授がタリバンの強権的な統治と経済危機の悪化を強く批判する映像がソーシャルメディアで拡散され、タリバンの報復が懸念されていた。

 ハシナ氏によるとタリバン復権後、ジャラル教授には国外退避するよう複数の提案があり、家族は欧州に避難したが、教授自身は申し出を全て断ってカブールに身を潜めていた。教授はハシナ氏に「どうして同胞を置いていけるだろうか。最初のタリバン政権時に彼らを見捨てなかったのに、今になって見捨てられようか」と告げたという。(c)AFP/Emma CLARK