【1月7日 AFP】カザフスタンで、燃料高騰への抗議デモに端を発した前例のない騒乱が続いている問題で、カシムジョマルト・トカエフ(Kassym-Jomart Tokayev)大統領は7日、デモ隊との対話を拒否し、「武装した無法者」の粉砕を誓うとともに、治安当局には無警告での射殺を許可すると表明した。

 同国では、最大都市アルマトイ(Almaty)をはじめ各地で騒乱が発生。トカエフ大統領は同日、先に、秩序は全土でおおむね回復したと述べていた。

 大統領は、今週3度目となった国民向けのテレビ演説で「テロリストは器物損壊や、市民に対する武器の使用を続けている。私は法執行機関に対し、無警告での射殺命令を出した」と述べた。国外からの対話を求める声については、「ナンセンス」と一蹴。「われわれの相手は、武装し訓練を受けた国内外の無法者集団、ならず者やテロリストだ。よって粉砕しなければならない。これは直ちに行われる」と述べた。

 カザフスタンは、中央アジアの旧ソ連構成国の中で安定した国と見なされてきたが、現在、過去数十年で最大の危機に直面している。

 デモ隊は5日、アルマトイの政府庁舎に突入を試み、警察や軍と長時間にわたり戦闘を続けた。当局によると、治安部隊員748人が負傷し、18人が死亡した。

 トカエフ大統領は「明確な攻撃計画、周到な連携、万全な戦闘準備」の下、「2万人の無法者」による襲撃を受けたと表現した。

 また大統領は、旧ソ連諸国でつくる集団安全保障条約機構(CSTO)から、騒乱鎮圧のため部隊が派遣されたことについて、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領に「心からの謝意」を表した。

 カザフスタン内務省は7日、治安部隊が全土で防衛を強化していると述べた一方、今回の騒乱で26人の「武装した犯罪者」が死亡し、18人が負傷したと発表した。(c)AFP/Christopher RICKLETON with Michael MAINVILLE in Moscow