【1月2日 AFP】欧州連合(EU)は、原子力発電と天然ガスを投資先として「グリーン」なエネルギーに分類する草案を打ち出した。ただ、EU加盟国の間では何を環境に真に配慮したエネルギーと定義するかについて意見が分かれている。

 AFPが1日に確認した今回の草案は、EU加盟27か国によるカーボンニュートラル(炭素排出量の実質ゼロ化)に向けた移行を支援し、気候変動対策の世界基準としてEUの信用を高めることを目的としている。

 しかし、草案の2021年内の作成は2度延期となり、年末ぎりぎりにまとめられたものが土壇場で加盟国に通知されたことは、作成までの困難な道のりをうかがわせる結果となった。

 加盟国の過半数が賛成すればEU法となり、2023年から発効する。

 欧州委員会(European Commission)は1日、原子力発電と天然ガスを含めることを盛り込んだ今回の草案について、加盟国と協議を開始したことを認めた。

 同委員会は「補完的なこの委任法で対象となる取り組みは、石炭など有害性がより高いエネルギー源からの段階的な脱却と、低炭素でよりグリーンなエネルギーミックスへの移行を早めるだろう」としている。

 フランスは、自国の主なエネルギー源である原子力を率先して推進してきた。一方、オーストリアはこれに強く反対しており、原発をすべて閉鎖する予定のドイツも懐疑的な姿勢を示している。

 ドイツのシュテフィ・レムケ(Steffi Lemke)環境相は1日、独メディアグループ「フンケ(Funke)」に対し、天然ガスと原子力発電を含めることは「間違い」であり、原子力は「壊滅的な環境破壊をもたらすおそれがある」と述べた。(c)AFP