【11月4日 AFP】化石燃料の燃焼を主因とした世界の二酸化炭素(CO2)の年間排出量は、2021年には新型コロナウイルス流行前の水準に戻るとする報告書を、地球温暖化の国際研究「グローバル・カーボン・プロジェクト(GCP)」が4日発表した。中国の排出量が増加し、全体の3分の1近くを占めるとしている。

 国連(UN)気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)が開催される中で発表されたGCPの年次報告書によると、2021年の年間CO2排出量は、過去最多を記録した2019年の水準をわずかに下回る見通し。ただ、新型コロナ流行に伴う経済の減速によって昨年減少した天然ガスと石炭から生じる排出量は、減少分以上に増加するとみられる。

 他国に先駆けて経済を回復させた中国は、2021年の世界の全排出量の31%を占めるという。

 石油から生じる排出量は2019年水準を大きく下回るが、交通・航空部門がコロナ禍の混乱から復活するにつれて急増する可能性がある。

 報告書の執筆に関わった英イーストアングリア大学(University of East Anglia)のコリーヌ・ルケレ(Corinne le Quere)教授(気候変動科学)は、「運輸部門が回復を続けていることから、2022年の排出量が全体的に増加する可能性は否定できない」とAFPに語った。

 数兆ドルに及ぶ新型コロナ復興資金のうち、環境に配慮した持続可能な開発に充てられたのはほんのわずかで、この傾向は今も続いているとルケレ氏は指摘。「現段階の経済刺激策は消費を促進することで、これがまさに産業、生産、石炭消費を後押ししている」と述べた。

 一方、報告書には前向きな兆候も記されている。米国、日本、ドイツ、フランス、英国など直近10年間で世界の排出量の4分の1を占めた23か国は、力強い成長と大幅な排出量削減が同時に見られ、この二つは切り離して実現可能だということが示された。(c)AFP/Marlowe HOOD