原発と天然ガス、気候変動対策に必要 欧州委員長
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【10月24日 AFP】欧州委員会(European Commission)のウルズラ・フォンデアライエン(Ursula von der Leyen)委員長は22日、欧州連合(EU)が低炭素経済へ移行するに当たっては安定したエネルギー源として原子力発電と天然ガスが必要だと述べた。
EU首脳会談後に記者会見したフォンデアライエン氏は、気候変動と闘うためEUは二酸化炭素(CO2)排出量を大幅に削減する必要があり、「再生可能でクリーンなエネルギーをもっと必要としていることは明らかだ」と主張。その上で、再生可能エネルギーに加えて「安定した供給源である原子力と、(低炭素経済への)移行期にはもちろん天然ガスも必要だ」と語った。
原発には大気中にCO2をほとんど排出しないという利点がある。天然ガスは化石燃料の中では燃焼時のCO2排出量が最も少なく、代替エネルギー源が開発されるまでの「つなぎ」と位置付けられている。
欧州委は年末までに、気候変動対策に貢献する経済活動を分類し列挙した、いわゆる「グリーンタクソノミー」を提示しなければならない。
電力の約7割を原発に依存しているフランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は22日、「われわれの気候変動目標を達成するために原発を利用する必要性について、これほど明確かつ広範な支持が表明されたことはこれまでなかった」と述べた。
EU外交筋は21日夜、タクソノミーへの天然ガスと原発の追加を「加盟国の大多数」が希望しているとAFPに明かしていた。
天然ガスの価格高騰を受け、フランスを中心とするEU加盟10か国は今月中旬、原発を支持する共同声明を発表した。一方、ドイツやオーストリア、ルクセンブルクなどは、放射性廃棄物の長期保管問題を指摘して原発に強く反発している。(c)AFP