【12月31日 AFP】香港の民主派系ネットメディア「立場新聞(Stand News)」の編集幹部2人が30日、扇動出版物発行を共謀した罪で起訴された。いずれも保釈は認められなかった。中国当局は前日、立場新聞の事務所を捜索し、幹部らを逮捕。国際社会は、香港の報道の自由抑圧を非難していた。

 金融都市の香港では2019年以降、大規模な民主化デモが繰り返され、しばしば騒乱に発展。中国は反政府活動を取り締まる国家安全維持法(国安法)を使い、香港に対する締め付けを強化している。

 警察は29日、立場新聞の事務所を捜索し、電話やパソコン、書類、現金を押収。林紹桐(パトリック・ラム、Patrick Lam)編集長代理や鍾律師(Chung Pui-kuen)前編集長ら関係者7人を逮捕した。

 裁判資料によると、林氏と鍾氏は30日、扇動的出版物の発行・複製を共謀したとして、立場新聞の親会社とともに起訴された。

 裁判所が両氏の保釈を認めない判断を下すと、立場新聞の元社員で埋まった傍聴席ではざわめきが起こり、涙を流す人もいた。次回公判は来年2月25日とされた。

 逮捕された関係者のうち、歌手の何韻詩(デニス・ホー、Denise Ho)氏を含む4人は、正式起訴されず保釈された。4人はいずれも6月に辞任した立場新聞の元役員。7人目は民主派日刊紙「蘋果日報(アップル・デーリー、Apple Daily)」元副編集長の陳沛敏(Chan Pui-man)氏で、別件で国安法違反容疑をかけられ、現在も拘束されている。

 米国やカナダ、欧州連合(EU)は立場新聞に対する強制捜査や、香港での報道の自由に対する中国政府の抑圧を非難している。(c)AFP/Holmes CHAN