【12月30日 AFP】世界保健機関(WHO)は29日、新型コロナウイルス感染者に義務付けている隔離期間の短縮は、感染拡大抑制と経済活動の維持との「妥協点」だと述べた。

 米疾病対策センター(CDC)は27日、新型ウイルス感染者に推奨している隔離期間について、無症状の場合は10日間から5日間に短縮すると発表。続いてスペインも、陽性者の隔離期間を10日から7日に短縮する方針を示した。

 WHOで緊急事態対応を統括するマイケル・ライアン(Michael Ryan)氏は会見で「隔離期間を短縮すれば、隔離解除が早すぎるために発症し、周囲に感染させる事例も出てくるだろう」とした上で、「だがそうした事例は比較的少数にとどまり、他の人に感染させることのない多くの人が隔離から解放される」と述べた。

 さらに「それは科学的に完璧な対策を講じることと、経済や社会の混乱を最小限に抑えることの妥協点で、各国政府はそのバランスを取ろうと努力している」と述べた。

 WHOのガイドラインでは、症状のある場合の隔離期間は発症から10日間、さらに症状が治まった状態で3日以上とされる。無症状の場合は、陽性反応が確認されてから10日間となっている。

 ライアン氏は、平均潜伏期間は5~6日だが幅があり、5~7日後に発症する可能性は急激に下がると説明。隔離を解除するタイミングは各国政府が判断することだと述べた。

 新たな変異株「オミクロン株」の潜伏期間については、「非常に大きな幅があるが、(他の変異株より)短いことを示唆するデータもある」とする一方、限られた研究に基づくデータだと強調した。

 続けて「初期または予備的な研究だけに基づくと、現時点では新型ウイルスの感染拡大抑制策を縮小するような大きな動きをしないことが望ましい」と述べた。(c)AFP