【12月30日 People’s Daily】中国では現在、農村の活性化政策を全国的に実施している。農村の生活水準を向上させると同時に、各地の伝統を生かした文化的な発展を推進している。

 中国では全国の農村に57万6000もの総合文化サービスセンターを建設し、図書室や電子閲覧室、文化活動室を設置している。第13次5か年計画(2016~2020年)の期間中、中央政府は農村部の文化拠点づくりのため58億5400万元(約1056億円)の補助金を支出している。河南省(Henan)蘭考県(Lankao)張庄村(Zhangzhuang)では、村民は自ら建設した「幸せの家講堂」で農業技術や公衆衛生、最新の施策などを学んでいる。浙江省(Zhejiang)江湖市(Jianghu)石橋村(Shiqiao)では子どもたちが図書室で本の心地よい香りに包まれながら読書にふけっている。甘粛省(Gansu)張掖市(Zhangye)速展村(Suzhan)では農産物の収穫期、村民が盛装して文化広場に集まり、豊作を祝っている。こうした拠点の誕生により、各地の村民は文化的豊かさを享受している。

「家のすぐそばで芝居を見られるなんて最高です」。山東省(Shandong)嘉祥県(Jiaxiang)方官屯村(Fangguantun)に住むお年寄り方振文(Fang Zhenwen)さんは喜びの声を上げる。銅鑼(どら)や太鼓が鳴り響き、観客の目は舞台にひきつけられた。嘉祥県は各地の農村で演劇や踊りなどの文化イベントを開き、村民たちを楽しませている。

 中国では近年、「暮らしに溶け込み、民衆に根差す」文化活動が毎年1万件行われている。農村地域の通信インフラを向上させる「村村通」プロジェクトも次々と進められている。

 農村に伝わる伝統文化を生かした産業振興策も広がっている。農業農村省は2012年以降、5分野118項目にわたる重要農業文化遺産を認定。第13次5か年計画の期間中、貧困解消につながる生産拠点の建設を2000か所以上サポートし、数十万人の就業や増収をもたらした。

 甘粛省西和県(Xihe)では、無形文化財の刺しゅう技術が人々の暮らしに潤いを与えている。花蘭手工刺しゅう有限公司では、女性たちが巧みな手さばきで美しい模様の刺しゅうを仕上げている。責任者の包花蘭(Bao Hualan)さんは「刺しゅう製品は1000種類以上あり、各家庭の年収は10万元(約180万円)を超えるようになりました。伝統文化を継承しながら、みんなの暮らしが良くなっています」と話す。

 文化的な生活は、人々に精神的な豊かさももたらす。江蘇省(Jiangsu)徐州市(Xuzhou)馬庄村(Mazhuang)では村民が「馬庄楽団」を設立。農作業に励むかたわら、時間を見つけては音楽活動にいそしんでいる。音楽は村に活気を与え、地域の新しい観光資源となっている。全国の農村でこうした取り組みが進み、伝統文化の継承と生活の向上、そして農民の幸福感が高まっている。(c)People’s Daily/AFPBB News