【12月29日 AFP】ロシア最高裁は28日、同国で最も著名な人権団体「メモリアル(Memorial)」に解散を命じた。同団体は、ソ連崩壊後の民主化を象徴する存在で、過去30年間にわたって旧ソ連の独裁者ヨシフ・スターリン(Joseph Stalin)時代の大粛清について記録してきた。

 同国では今年、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)政権批判の急先鋒(せんぽう)であるアレクセイ・ナワリヌイ(Alexei Navalny)氏の収監に続き、人権団体や独立メディアに対する歴史的な抑圧が相次いでいる。だが今回の裁判所命令はその中でも特に際立っており、数年前には考えられないものだった。

 裁判で検察側は、同団体の中核組織「メモリアル・インターナショナル(Memorial International)」が、海外から資金を得ている「外国の代理人」であると出版物に明記することを怠ったほか、ソ連とその勝利の記憶を汚し「ナチスの犯罪者」を復権させているとも主張。アラ・ナザロワ(Alla Nazarova)判事は、メモリアル・インターナショナルとその地域支部に解散を命じた。

 同団体は、ノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)を受賞したアンドレイ・サハロフ(Andrei Sakharov)氏らソ連の反体制派が1989年に設立。プーチン大統領は、同団体がテロ組織や過激派組織を擁護していると非難していた。

 裁判所前には、極寒の中で同団体支持者が数十人集まり、数人が拘束された。同団体は声明で、解散命令に異議を申し立てる意向を表明。今後も「合法的」に活動を続ける方法を模索していくとした。(c)AFP/Romain COLAS