【12月20日 AFP】スーダンで19日、文民主導での民政移管を求める大規模なデモが行われた。この日は、長く独裁体制を敷いたオマル・ハッサン・アハメド・バシル(Omar Hassan Ahmed al-Bashir)前大統領の失脚につながった大規模デモの開始から丸3年の記念日に当たる。

 首都ハルツームの大統領府近くでは、デモ隊を解散させようと治安部隊が催涙ガスを使用し、実弾を空に向けて撃つなどして、目撃者によると複数の負傷者が出た。

 デモ隊は大統領府に向けて行進しながら、10月25日に起きた軍事クーデターを主導したアブドルファタハ・ブルハン(Abdel Fattah al-Burhan)統治評議会議長を名指しで非難。「国民はブルハンの失脚を求めている」などと叫んだ。

 夜になるとデモ隊は、2019年にバシル氏を失脚させた際と同様の座り込みを行うと宣言。現地のAFP記者によれば、この宣言後、集まっていた数千人のデモ参加者に向けて次々と催涙弾が撃ち込まれた。

 バシル氏の失脚後、スーダンでは文民出身のアブダラ・ハムドク(Abdalla Hamdok)首相率いる暫定政権が民政移管を進めていたが、軍出身のブルハン氏らが10月、クーデターで実権を掌握。ハムドク氏を解任し、自宅軟禁下に置いた。

 ブルハン氏は先月21日、ハムドク氏を首相に復職させたが、民政移管を求める国民の多くはクーデターに正当性を与えるための隠れみのにすぎないと非難している。

 12月19日は、30年間に及ぶバシル政権に幕を下ろした大規模デモが始まった日というだけでなく、1955年にスーダン議会が英植民地支配からの独立を宣言した日でもあり、スーダン史において特別な意味を持つ。(c)AFP