【12月19日 AFP】香港で19日、「愛国者のみによる統治」を掲げて中国政府が導入した新制度の下で初となる立法会(議会)選挙の投票が始まった。直接選挙枠を大幅に削減し、立候補の条件も厳しく制限している。

 定数90のうち有権者の投票で決まるのは20議席のみで、立候補者は全員、中国への愛国心と政治的忠誠心を審査される。40議席は中国政府に忠実な選挙委員会(定数1500)が選出し、残る30議席は親中派の職能団体から選ばれる。

 香港政府は新聞各紙の1面や街頭看板の広告枠を買い占め、各戸にチラシを配布したり携帯電話にメッセージを送付したりして投票を呼び掛け、投票日は公共交通機関を一日無料とした。しかし、直近の世論調査では「投票する」と答えた人は過去最低の48%にとどまり、52%が「支持したい候補者がいない」と回答している。

 会計士だという20代の女性はAFPの取材に、投票に行く予定はないとし、「どうせ親中派が勝つのだから、私の一票には何の意味もない」と語った。

 野党では前回の立法会選挙で当選した民主派議員を含む数十人が、逮捕されたり、立候補資格を認められなかったり、国外に逃亡したりしている。民主派政党は候補者を擁立しておらず、香港を脱出した活動家も多くが選挙のボイコットを呼び掛けている。

 香港当局は今年、投票のボイコットや白票・無効票の投票を「扇動」する行為を犯罪と規定。主にソーシャルメディアへの投稿を理由に、これまでに10人を逮捕した。(c)AFP