香港、過去の映画作品も国安法の検閲対象に
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【10月28日 AFP】香港立法会(議会)は27日、過去に制作された映画についても検閲を強化し、「国家安全保障」上の脅威と見なされる場合は上映を禁じ、違反者に厳しい刑罰を科す条例を可決した。香港の芸術表現の自由にとって新たな打撃となる。
香港政府は6月、新作映画を国家安全維持法(国安法)に照らして検閲する方針を示していた。だが、野党を排除した立法会が今回可決した条例は、過去に上映が許可された映画全ても検閲対象に含んでいる。
新条例は「国家安全保障上の利益に反する」と見なされた映画について、新旧を問わず、上映許可を取り消す権限を香港政府政務官に与える。
無許可での上映は、3年以下の禁錮刑と最高100万香港ドル(約1500万円)の罰金の対象となる。検閲官は無許可上映の疑いがある建物に、令状なしで立ち入り捜査ができる。
作品が安全保障上の脅威と見なされた場合、従来の手続きでの異議申し立てはできず、裁判所に司法審査を請求しなければならないが、これには長い時間と高い費用がかかる。
親中派の議員からは、米動画配信大手ネットフリックス(Netflix)や米ケーブルテレビ局HBO、米インターネット通販大手アマゾン・ドットコム(Amazon.com)など、映画のオンライン配信会社が検閲対象から漏れているとの批判が出た。
これに対し、香港政府の邱騰華(エドワード・ヤウ、Edward Yau)商務経済発展局長は、映画館で上映される作品もオンライン配信される作品も、すべて国安法の対象になると語った。(c)AFP