【12月17日 AFP】米ロック歌手のブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)さん(72)が、自身の楽曲の権利を大手音楽レーベルのソニー・ミュージックエンタテインメント(Sony Music Entertainment)に5億ドル(約570億円)で売却した。米メディアが報じた。音楽界では新型コロナウイルス流行の影響で、大物歌手による楽曲権売却の動きが加速している。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)と米音楽誌ビルボード(Billboard)によると、スプリングスティーンさん自身の楽曲に加え、作詞作曲を手掛けた作品の権利もすべて売却された。ニューヨーク・タイムズは関係筋の話としてこの契約について報じたが、ソニー・ミュージック側は公式発表していない。

 スプリングスティーンさんは、ソニー・ミュージック傘下のコロムビア・レコード(Columbia Records)に50年間所属。作品の販売枚数は1億5000万枚以上に上る。

 コロナ禍の影響で業績が落ち込む業界が多い中、長期利益を期待できる楽曲の権利は、投資家を引き付けている。業界関係者によると、楽曲権の価格は2019年以前から上昇し始めていたが、コロナ流行によりアーティストがツアーやコンサートができなくなったことで急上昇した。

 2016年にノーベル文学賞(Nobel Prize in Literature)を受賞したボブ・ディラン(Bob Dylan)さん(80)は昨年12月、全楽曲の権利を推定3億ドル(約340億円)でユニバーサル・ミュージック・パブリッシング・グループ(Universal Music Publishing Group)に売却。今年10月には、米歌手ティナ・ターナー(Tina Turner)さんが、独レコード会社BMGに楽曲の権利を売却した。金額は公表されていない。(c)AFP