【12月11日 AFPBB News】1週間のSDGsニュースを振り返る。

ファッション誌エル、毛皮コンテンツの使用中止へ

 ファッション誌エル(Elle)は2日、世界各地で刊行されている同誌の記事および広告で、毛皮に関するコンテンツの使用を中止すると発表した。主要誌としては初となる。

 同誌のバレリア・ベソロ・ロピズ(Valeria Bessolo Llopiz)インターナショナルディレクターは同日、ファッションメディアのビジネス・オブ・ファッション(BoF)が開催した会合で、「紙面やサイトにアニマルファーを掲載することは、もはや私たちや読者の価値観とは合致しない」と発言。同誌が「動物虐待に反対」の立場を示す時が来たとの考えを示した。

 ファッション業界に対しては、毛皮の使用中止を求める動物愛護団体からの圧力や、世論の反発が強まっている。

ファッション誌エル(2011年1月4日撮影、資料写真)。(c)JOEL SAGET / AFP

ロシア、悪名高き「イルカ監獄」を解体

 ロシア当局は2日、狭いいけすで多数のシロイルカ(ベルーガ)やシャチを飼育していたことで悪名高い「イルカ監獄」を解体したと発表した。

「イルカ監獄」は極東ナホトカ(Nakhodka)に近いスレドニャヤ湾(Srednyaya Bay)でひそかに運営され、2018年には100頭近いシロイルカとシャチが飼育されていた。多くは中国の水族館に輸出されることになっていた。

 2019年に動物愛護団体や環境保護団体が解放を求める運動を展開し、現在はすべてのシロイルカとシャチが海に放されている。

ロシア極東スレドニャヤ湾で、「イルカ監獄」に閉じ込められていたシャチをトラックの水槽に移動させる作業員(2019年7月11日撮影)。(c)AFP

ごみを楽器に「アップサイクル」 環境問題に向き合うトルコのバンド

 捨てられたプラスチック製の容器やランプの台、ひも──。たいていの人にはごみでしかないものが、トルコの音楽バンドの手にかかると楽器として生まれ変わる。

 プロのミュージシャン3人が結成したバンド「ファンギスタンブール(Fungistanbul)」は2019年、「トラッシュ・オリエンタル」と呼ぶ音楽づくりを実験的に始めた。

「最初はどんな音になるのか見当もつかなかった」と、メンバーのロニ・アラン(Roni Aran)さんは語った。

 ファンギスタンブールは、ごみとして捨てられる古い物に価値を与える「アップサイクル」の啓発活動をしているのだと話す。

捨てられたマネキンから作った打楽器をたたく「ファンギスタンブール」のエルマン・アルトゥチュさん。トルコ・イスタンブールで(2021年11月8日撮影)。(c)Ozan KOSE / AFP

女性だけの植物サンクチュアリ インド

 森林破壊と気候変動による破壊が進むインドの西ガーツ(Western Ghats)山脈で、女性だけの森林保護施設が生物多様性を守るため闘っている。

 国連教育科学文化機関(ユネスコ、UNESCO)の世界自然遺産に登録されている西ガーツ山脈は、絶滅が危惧される植物、鳥類、両生類、爬虫(はちゅう)類、魚類など少なくとも325種が生息する。しかし、国際自然保護連合(IUCN)は現在、西ガーツ山脈の環境に懸念を示している。

 グルクラ・ボタニカルサンクチュアリ(Gurukula Botanical Sanctuary)では、27人の女性が珍しいシダや樹木に着生するコケなど絶滅の恐れがある多数の植物の保護に当たっている。

 管理者の一人、スプラバ・セーシャン(Suprabha Seshan)さんは「できる限りの救済をしている。ここは難民キャンプのようなものだ」と話す。辺り一帯の森林の90%以上が失われたと推測しており、生態学上の「ホロコースト(大量虐殺)」が起こっていると語った。

インド・西ガーツ山脈にあるグルクラ・ボタニカルサンクチュアリで植物の世話をする女性(2021年9月15日撮影)。(c)Manjunath Kiran / AFP

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