【12月6日 AFP】森林破壊と気候変動による破壊が進むインドの西ガーツ(Western Ghats)山脈で、女性だけの森林保護施設が生物多様性を守るため闘っている。

 国連教育科学文化機関(ユネスコ、UNESCO)の世界自然遺産に登録されている西ガーツ山脈は、絶滅が危惧される植物、鳥類、両生類、爬虫(はちゅう)類、魚類など少なくとも325種が生息する。しかし、国際自然保護連合(IUCN)は現在、西ガーツ山脈の環境に懸念を示している。

 グルクラ・ボタニカルサンクチュアリ(Gurukula Botanical Sanctuary)では、27人の女性が珍しいシダや樹木に着生するコケなど絶滅の恐れがある多数の植物の保護に当たっている。

 管理者の一人、スプラバ・セーシャン(Suprabha Seshan)さんは「できる限りの救済をしている。ここは難民キャンプのようなものだ」と話す。

 グルクラは植物の病院でもある。

「植木鉢は集中治療室(ICU)で、鉢から出ることは基本的な治療を受ける一般病棟に移されるようなものだ」

 セーシャンさんは、辺り一帯の森林の90%以上が失われたと推測しており、生態学上の「ホロコースト(大量虐殺)」が起こっていると語った。

 グルクラは、地球温暖化と人間がこの地域に入ってきたことで生存の危機にさらされている在来植物の個体数を徐々に増やすことを目的に、植物の避難所として創設された。

 グルクラとは「グル(師)と暮らし学ぶ場所」を意味する。50年前、ドイツ人の環境保護活動家ウォルフガング・トイアーカウフ(Wolfgang Theuerkauf)氏により創られた。

 トイアーカウフ氏は1978年にインド国籍を取得し、その7年後に亡くなった。7エーカー(約2万8000平方メートル)の森林から始まったグルクラは、現在では10倍の広さになっている。