【12月9日 CNS】競技会場にその時代の最新技術が導入されることが多いオリンピック。2022年冬季五輪が開かれる北京でも新しい技術が注目を集めている。

 北京大会は北京市、延慶区(Yanqing)、張家口市(Zhangjiakou)の3つの競技エリアに分かれており、北京冬季五輪組織委員会の喻紅(Yu Hong)技術部長は「それぞれのエリアで会場建設、環境保護、スマートサービス、放送技術、人工知能(AI)などの面で最新技術を導入している」と説明。10月から始まっているテスト大会で運用を開始している。

 北京エリアに新設された国家スピードスケート館(通称:アイスリボン)のU字形の屋根は、軽量、薄型、柔軟構造の鋼材を使い、鉄鋼使用量を従来の4分の1にとどめている。2008年北京夏季五輪の水泳会場だった国立水泳センターは今大会ではカーリング会場となる。「ウオーターキューブ」と呼ばれる建物が20日間の工事で「アイスキューブ」に変身した。夏季五輪のメインスタジアムだった国家体育場(通称:鳥の巣)はモノのインターネット(IoT)とAI技術を駆使し、デジタル、低炭素、スマートなスタジアムに進化した。

 ボブスレー、スケルトン、リュージュが行われる延慶エリアの国家スライディングセンター(通称:スノードラゴン)では、1ミリ単位のセメント射出・加工技術を応用し、1.9キロメートルのトラックを1回の射出で成形した。

 環境保護や省エネを建設理念とした「グリーン五輪」の要素は会場のいたるところに見られる。張家口エリアにある国家スキージャンプセンター(通称:雪如意)は二酸化炭素(CO2)排出量を抑制した会場づくりのモデルとして知られる。

 北京冬季五輪はCO2の排出量を差し引きゼロにする「カーボンニュートラル」の目標を掲げている。北京大会で使う電力は風力:太陽エネルギーで発電し、100%の「グリーン電力」供給を実現する。国家スピードスケート館やアイスホッケー会場の五棵松体育館はCO2を冷媒とした冷却システムを採用し、氷の表面温度差は0.5度以内に制御。CO2排出量はゼロに近く、廃熱の再利用でエネルギー効率も30%から40%に向上する。

「グリーン五輪」の理念は競技場にとどまらない。張家口エリアではCO2を排出しない水素燃料電池車80台を導入。延慶エリアと張家口エリアでは水素燃料バス700台を配備する。また、五輪期間中に使われる食器はトウモロコシやジャガイモ、ワラなどの再生可能な原材料で製造する。

 テスト大会で一連の新しい取り組みをチェックし、来年2月の大会本番に臨む。(c)CNS/JCM/AFPBB News