【12月5日 AFP】電柱に止まっている1羽の鳥をめぐり、2人の少女が夢中で話し合っている。あれは、オリーブタイランチョウ? それとも、ベニタイランチョウ?

 正解はベニタイランチョウ。空中でハエを捕食する、真っ赤な小鳥だ。

 南米コロンビア中部、トリマ(Tolima)県のプラナダス(Planadas)地区。緑豊かな山あいで子ども同士が鳥類学的な論争を繰り広げている姿は、意外に思えるかもしれない。

 大人から子どもまで約30人が山を見渡しながら、野鳥観察の一日に参加している。

 この活動の目的は、内戦で荒廃した地で平和を推進すること。トリマ県では2016年に和平合意が結ばれるまで、半世紀にわたり、元左翼ゲリラ組織コロンビア革命軍(FARC)が政府軍を相手に戦ってきた。

 歴史的な和平合意による紛争終結から5年を経て、プラナダスは落ち着きを取り戻した。それでも内戦の傷痕は残っている。

「鳥は交流のきっかけになります」と語るカミロ・エンシソ(Camilo Enciso)さん。環境に配慮した農産物生産をモットーとするプラナダス農協(ASOPEP)の創始者だ。この農協が野鳥観察プロジェクトを推進している。 

 この日の参加者には、FARCの元戦闘員の子どもたちもいた。その親たちは市民生活に再び適応するために「再編入」キャンプで過ごしている。

 一方で長年、政府軍の補完勢力だった先住民ナサ(Nasa)の人々や、攻撃にさらされていた農民たちもいた。