【11月29日 AFP】中国の2021年7~9月期の二酸化炭素(CO2)排出量が、新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)の解除後、初めて減少に転じたことが、25日に公表された報告書で示された。中国におけるCO2排出の「転換点」となる可能性があると受け止められている。

 報告書は独立研究機関「センター・フォー・リサーチ・オン・エナジー・アンド・クリーンエア(CREA)」がまとめた。

 それによると、7~9月期の化石燃料およびセメント産業から排出されるCO2は、前年同期比0.5%減となった。CREAのアナリスト、ラウリ・ミリビルタ(Lauri Myllyvirta)氏によると、都市封鎖が解除され、排出量が以前の水準に戻って以降、四半期ベースの排出量が減少したのは初めて。

 ミリビルタ氏は、排出量が減少に転じた理由として、中国政府による不動産市場への締め付けにより建設部門が低迷したことに加え、石炭価格の高騰を受けて全土で計画停電が実施された点を指摘。「今回の排出量減少は中国にとって転換点となるかもしれない。排出のピークは目標の30年から前倒しされる可能性もある」としている。

 中国は排出量を30年までにピークアウトさせ、60年までに実質ゼロにすると表明している。

 ただ同氏は、政府が経済回復に向けて建設部門のてこ入れを図れば、排出量はピーク目標の前に再び増加に転じる可能性もあると警告している。

 中国の排出量は20年初め、新型ウイルスの感染抑制に向けた隔離措置の導入で大幅に減少した。その後、隔離措置の撤廃や工場の再稼働に伴い、月間ベースで19年を上回る水準にまで増加していた。

 ミリビルタ氏は中国の石炭危機については、「石炭消費の拡大と価格統制政策」が原因だが、国内ではクリーンエネルギーへの移行に伴うものだと考えられていると指摘。そのため政府としては、石炭危機が完全に解消されるまでは気候変動目標の達成に向けた動きに二の足を踏む可能性もあるとしている。(c)AFP