【11月20日 AFP】来年1月に行われるテニス四大大会(グランドスラム)の初戦、全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament 2021)の主催者は20日、出場選手全員に対して新型コロナウイルスのワクチン接種を義務付けると発表した。これにより、ワクチンを接種したかどうか公表するのを拒否している男子シングルスの前回大会覇者ノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)への重圧が、さらに増すこととなった。

 開催地のビクトリア(Victoria)州メルボルンでは、ウイルスのパンデミック(世界的な大流行)によるロックダウン(都市封鎖)が計260日以上も続いた経緯があり、先月には同州首相がワクチン未接種の選手に譲歩するつもりはないと明言していた。

 全豪オープンを主催するオーストラリアテニス協会(Tennis Australia)のクレイグ・タイリー(Craig Tiley)最高経営責任者(CEO)は、出場予定の選手全員に会場のメルボルンパーク(Melbourne Park)でプレーするにはワクチン接種が不可欠であると通達したと公表。

 同CEOは豪テレビ局チャンネルナイン(Channel Nine)に対して、「ワクチンに関してはいろいろな臆測が出ている。とにかく明確にしておきたいのは、現地入りする誰もがワクチンを打つ必要があると(ビクトリア州の)首相が話したとき、われわれもそのことを選手たちにはっきり示したということだ」と述べた。

「選手全員がそれを理解している。われわれの関係者や、全豪オープンで働くスタッフ全員がワクチンを打つ必要がある」

 これには、通算9度の全豪制覇を誇る世界1位のジョコビッチも含まれることになる。タイリーCEOは、今大会でグランドスラム歴代1位となる通算21回目の優勝を目指す同選手が「この件はプライベートな問題とみなしている」と話していたと明かし、「ぜひとも、ここでノバクの姿を見たい。ここでプレーするには、ワクチンを打つ必要があることは彼も承知している」と語った。

 一方、ジョコビッチは先日、ワクチン接種の必要性に関して、テニスオーストラリアから正式決定が下されるまで待つ意向を示していた。

 今年の全豪オープンは開催されたものの、出場選手はホテルで2週間の隔離生活を強いられたほか、観客の人数も制限され、開催期間中には5日間のロックダウンで一時無観客となった。

 大会主催者は2022年大会が予定通り来年1月17日に開幕するとしており、ワクチン接種が完了している選手は隔離免除でオーストラリアに入国できる見込みで、隔離や衛生が保たれた「バブル」環境下にとどまる必要もないとみられる。

 ジョコビッチをめぐる状況が不透明なままとなっている中、同じく通算21度目のグランドスラム制覇を目指すラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)は出場予定だが、ロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)は長引く右膝の故障で欠場するという。

 一方、女子シングルスでは世界1位のアシュリー・バーティ(Ashleigh Barty、オーストラリア)が母国でのメジャー優勝を目指し、前回女王の大坂なおみ(Naomi Osaka)も出場を表明している。(c)AFP