【11月15日 AFP】中国は14日、シリアに新型コロナウイルスワクチン50万回分を寄付した。シリアは世界で最もワクチン接種が遅れている国の一つ。

 国連(UN)のマーティン・グリフィス(Martin Griffiths)事務次長(人道問題担当)は先月、シリアでワクチン接種を受けた人は人口の2%に満たず、感染が急拡大していると警鐘を鳴らしていた。

 シリア政府は先週、公平なワクチンの分配を目指す国際的枠組み「コバックス(COVAX)」を通じて130万回分以上の中国シノバック・バイオテック(Sinovac Biotech)製ワクチンを受け取った。今回の分を含め、ここ1週間でシリアに届けられたワクチンは約200万回分となった。

 今回提供されたのは中国医薬集団(シノファーム、Sinopharm)製のワクチン。シリアのハッサン・ガバーシュ(Hassan al-Ghabbash)保健相は、記者会見で、寄付に感謝した。

 中国の馮飈(Feng Biao)駐シリア大使は、中国政府が提供したシノファーム製ワクチンは今回の分を合わせると80万回分に上ると語った。

 ガバーシュ氏によると、国内では60万人以上がワクチン接種を受けた。政府の支配地域での新型コロナの感染者数は4万6000人以上、うち死者は2661人とされているが、医療関係者や支援団体は実際の数はこれを上回るとみている。

 一方、反体制派が支配する北西部イドリブ(Idlib)県の感染者数は9万人以上、うち死者は2000人に上る。反体制派によると、コバックスを通じてワクチン約69万回分を受け取り、7万7000人が接種を受けた。

 北東部クルド人自治区の感染者数は3万7000人、うち死者は1500人。シリア政府からワクチンが提供されており、約4万人が接種を受けた。(c)AFP