【11月10日 AFP】エチオピアの首都アディスアベバで、国連(UN)の現地職員が相次いで当局により身柄を拘束され、9日時点でも16人が拘束下に置かれている。国連が発表した。少数民族ティグレ人などの反政府勢力との紛争が1年にわたり続く同国では、政府がティグレ人に対する締め付けを強化している。

 エチオピアでは先週、ティグレ人と最大民族オロモ人の反政府組織が勢力を拡大し、首都進攻の恐れが高まったことを受け、全土に6か月間の非常事態宣言が出された。現在、米国やアフリカ連合(AU)の特使が現地入りし、紛争終結に向けた協議を行っている。7日には国連のマーティン・グリフィス(Martin Griffiths)緊急援助調整官が北部ティグレ(Tigray)州を訪問し、民間人援助の強化を呼び掛けていた。

 人道支援関係者によると、拘束された国連職員の中には、自宅から連行された人もいた。国連のステファン・ドゥジャリク(Stephane Dujarric)報道官は、これまでに職員6人が解放されたが、16人が現在も拘束されていると説明。職員は全員がエチオピア人だとした。国連は職員の即時解放に向け同国政府と協力しているが、拘束の理由については説明がないという。

 今回の紛争ではティグレ人の恣意(しい)的な拘束がこれまでにも頻発していたが、複数の弁護士によると、先週、「テロ組織」支援が疑われる人物を令状なしで拘束できるようにする新たな措置が導入されたことを受け、拘束数は急増。これまでに数千人が連行されている。(c)AFP