【11月9日 CNS】中国・雲南省(Yunnan)昆明市(Kunming)で10月11~15日に開かれた国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で、中国は新たに設けた国立公園制度の第1弾として、三江源(Sanjiangyuan)国立公園、ジャイアントパンダ国立公園、アムールトラ・アムールヒョウ国立公園、海南熱帯雨林国立公園、武夷山国立公園の5か所を設立したと発表した。5か所の国立公園は青海省(Qinghai)、チベット自治区(Tibet Autonomous Region)、四川省(Sichuan)、陝西省(Shaanxi)、甘粛省(Gansu)、吉林省(Jilin)、黒竜江省(Heilongjiang)、海南省(Hainan)、福建省(Fujian)、江西省(Jiangxi)の10省・自治区にまたがり、中国の陸地における主要な保護野生動植物類の約30%をカバーしている。

 北京林業大学(Beijing Forestry University)土壌・水保全学部の賈国棟(Jia Guodong)准教授は「国立公園は環境保護だけでなく、人々が自然を鑑賞、体験し、社会に利益をもたらすことで、環境保護と資源開発の両方を実現する」説明。業界関係者は、コロナ禍で打撃を受けている観光市場の「刺激剤」になると信じている。

 中国初の国立公園が誕生したニュースが発表されると、旅行サイトでは国立公園の検索が急増。中国西部の青海チベット高原に位置する三江源国立公園の人気は30倍以上、南部の海南熱帯雨林国立公園の人気は5倍以上に増加し、エコツーリズム愛好家は国立公園に大きな期待を寄せている。

 専門家によると、国立公園は関係者以外立ち入り禁止の中核保護区を除き、観光や自然学習などの活動は認められている。今年初めにはジャイアントパンダ国立公園のスタディーキャンプが始まり、専門家の案内で参加者が野生動植物を観察し、保護の方法について学んだ。ユキヒョウの専門家と一緒に動物を観察する活動もあり、若い旅行者の注目を集めた。

 中国の最初の国立公園は、自然生態系の最も重要な部分、独特の景観、貴重な自然遺産、そして豊かな生物多様性を保全している。例えばジャイアントパンダ国立公園は世界の野生のジャイアントパンダの70%以上を保護している。武夷山国立公園は世界で同じ緯度にある中亜熱帯で最大の常緑広葉樹林があり、海南熱帯雨林国立公園は世界の霊長類で最も絶滅が危惧されている海南テナガザルが唯一生息している。アムールトラ・アムールヒョウ国立公園には中国で唯一、家族を形成しているアムールトラとアムールヒョウの個体群が生息している。

 中国国務院発展研究センター研究員の蘇楊(Su Yang)氏は「国立公園の第一弾は5か所のみだが、他の試行区が基準を満たしていけば国立公園は増えていく」と話している。(c)CNS/JCM/AFPBB News