【11月2日 CNS】中国では1980年代から1990年代にかけ、賓客をもてなす旅行専用列車「オリエント急行」(Orient Express)が古代のシルクロードに沿って運行していた。そして新たに国内最高級の旅行専用列車「ニューオリエント急行」が誕生し、新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)などで運行している。

 日本で広まっている観光列車と同様、中国でも鉄道で自然の風景を体験する旅行が人気となっている。ぜいたくな鉄道旅行としては中国で唯一となる「ニューオリエント急行」は、中国鉄路ウルムチ局集団(China Railway Urumqi Group)が総費用4800万元(約8億5492万円)をかけて車両18台をリニューアルし、7月3日に新疆ウイグル自治区の区都ウルムチ市(Urumqi)から出発した。最大運行日数は15日。毎年7~10月に運行し、1人あたりの料金は約3万~5万元(約53万~89万円)。運営責任者は「ウルムチ駅のホームの長さから、旅客列車は14両までに制限されており、乗客は最大約300人です」と説明する。

 この豪華列車にはベッドルーム、シャワー、カラオケ、バー、ラウンジ、郷土料理、ピアノルーム、映画館、コーヒーショップなどを備えている。車両ごとにサービス担当者が配置され、清掃やタオルの準備、熱いお茶などのおもてなしをする。

 ニューオリエント急行は、乗客に美しい景色と文化を体験してもらう「観光大使」でもある。「大美南北疆」と呼ばれる新疆ウイグル自治区環状線ルートや、ウルムチ市と寧夏回族自治区(Ningxia Hui Autonomous Region%)の区都・銀川市(Yinchuan)を結ぶシルクロード探検ルートなど、多くの行程を提供している。ウルムチ-銀川間は特に人気が高く、世界4大草原の一つ、ナラティ草原や自然豊かなコクト海国立地質公園、「地上の楽園、神々の庭」と称される禾木村(Hemu)などを通過する。列車は夜間に運行して日中はほとんど停車しており、観光客は時間をかけて周辺の名跡を探訪できる。甘粛省(Gansu)敦煌市(Dunhuang)の洞窟を訪れ、エルティシ川(Irtysh)で魚の宴を楽しむほか、西夏王の霊廟や楼蘭古代国など一般の観光客がめったに訪れない遺跡も探索できる。

 新型コロナウイルスの脅威が続く中、人口密度が低く自然豊かな地域を巡る列車の旅は、多くの観光客を魅了している。中国社会科学院が4月に発表した「観光緑書:2020~2021年の中国の観光開発の分析と予測」では、コロナ禍において大自然地帯を巡る高級旅行と短期旅行が国内旅行の新しい市場となっていると分析している。
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