【11月1日 AFP】タイは1日、新型コロナウイルスワクチン接種を条件に、1年半ぶりに外国人観光客の受け入れを再開した。首都バンコクとプーケット(Phuket)の空港には、規制緩和後初となる旅行者が到着した。他の都市についても順次受け入れを再開する。

 バンコクのスワンナプーム国際空港(Suvarnabhumi Airport)とプーケット国際空港(Phuket International Airport)に降り立ったのは欧州からの観光客が大半で、防護服を着用した空港職員に迎えられた。

 国内の国際空港を運営するタイ空港公社(Airports of Thailand)によると、1日には約3万人がスワンナプーム国際空港に到着する見込み。

 タイ経済は観光業に依存しており、新型コロナのパンデミック(世界的な大流行)で大打撃を受けた。2020年の訪問者数は80%以上減少し、経済活動は1997年のアジア通貨危機以来、最悪の状態にまで落ち込んだ。

 当局は観光業を再活性化させるため、「低リスク」の60か国以上を対象に、ワクチン接種済みの観光客についてホテルでの隔離免除を決めた。

 12月に避寒のため訪れる観光客を取り込みたい考えで、低リスク国には欧州各国や米国、中国が含まれる。

 プラユット・チャンオーチャー(Prayut Chan-O-Cha)首相は10月29日、「政府と私が今、最も重要だと考えているのは、人々の暮らしを正常な状態に戻すことだ」と述べた。

 観光産業はタイ経済の5分の1を占めており、コロナ禍の影響は飲食から輸送などさまざまな部門に及んでいる。

 当局は来年には1000万~1500万人の観光客が戻ってくると見込んでおり、その収益は300億ドル(約3兆4000億円)を超えると予測されている。

 ピパット・ラッチャキップラカーン(Pipat Ratchakitprakarn)観光・スポーツ相は「観光収入は2023年には2019年の水準にまで近づく見込みだ」と述べた。

 一方、業界関係者は状況を楽観していない。タイへの観光客の大部分を送りだす中国が、海外からの帰国者に対し、厳格な隔離措置を実施しているためだ。

 タイでは現在も1日当たりの新規感染者数が1万人近くに上っており、ワクチン接種が完了しているのは全人口の40%余りにとどまる。ただ、バンコクについては接種率は80%近くに達している。(c)AFP