【10月13日 AFP】香港大学(HKU)が構内に設置されていた天安門(Tiananmen)事件の犠牲者を追悼する記念像の撤去を命じた問題をめぐり、制作を手掛けたデンマーク人彫刻家イェンス・ガルシュット(Jens Galschiot)氏が像を海外に持ち出すため弁護士を雇ったことが分かった。

 撤去が命じられたのは高さ8メートルの「国恥の柱(Pillar of Shame)」で、香港が中国に返還された1997年から同大学に設置されている。

 像は拷問され苦悶(くもん)の表情を浮かべる50人の体が積み重ねられたデザインで、1989年に中国・北京の天安門広場に民主化を求め集まり、軍に殺害されたデモの参加者を追悼している。

 香港当局が反体制派の取り締まりを強化する中、同大は先週、「法的な助言」を理由に像を13日午後5時(日本時間同6時)までに撤去するよう命じた。

 ガルシュット氏はAFPに対し、現地の弁護士を雇い、大学側に像の処遇について協議したいと申し入れたと述べた。

 同氏はEメールで「彫像に対する私の所有権が尊重され、秩序ある状況で、まったく破損されずに香港から移送されることを望んでいる」と説明した。

 像が香港にとどまる方がいいとは思っているが、当局により破壊された場合、香港市民が「国恥の柱の破片をできるだけ多く」集めるべきだとしている。

「破片は『帝国が滅びても芸術は残る』ということを象徴するような作品を創るのに使えるかもしれない」

 ガルシュット氏はまた、香港で像の3Dスキャンを取りミニチュア版を製造していた人にも連絡を取ったと述べた。(c)AFP