【10月13日 AFP】フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は12日、電気自動車や水素燃料、効率的な原子力発電所などの革新的で環境に優しい技術開発を促進するため、国内産業に300億ユーロ(約3兆9000憶円)を投資する計画を発表した。

 仏大統領選挙を半年後に控え、来月には国連(UN気候変動枠組み条約第26回締約国会議COP26)に出席するマクロン氏は、エリゼ宮(Elysee Palace、大統領府)で企業幹部や大学生を前に演説し、「フランス2030」と銘打った新計画を説明。フランスが重要な決定を下したのは「欧州諸国の一部よりも15~20年遅かった」とし、同国は今後「再び革新と研究の国になる」必要があると表明した。

 新型コロナウイルスの世界的な流行によって「私たちは自らの弱みを直視させられた」とした上で、フランスは自国と欧州の産業の自立に向けて取り組む必要があると指摘。医学研究に対する投資の必要性も訴えた。

 フランスの製薬大手各社は、新型コロナウイルスワクチンの開発競争で独ビオンテック(BioNTech)や米モデルナ(Moderna)といった新興バイオ技術企業の後塵(こうじん)を拝した。マクロン氏は、がんや新たな疾病、高齢化に伴う疾病を含む慢性疾患などに対するバイオ医薬品を「少なくとも20種類」国内開発することを目指すと明言した。

 エネルギー分野への80億ユーロ(約1兆500億円)の投資の一環として、水素製造用の大規模電解施設を2か所建設する。さらに、電気自動車やハイブリッド車200万台の普及を目指すほか、欧州諸国と協力し、二酸化炭素排出量の少ない航空機の開発に向け「大規模な」投資を行う。

 マクロン氏は、2030年までに10億ユーロ(約1300億円)を投じて、原子力発電分野での「破壊的イノベーション」に取り組むとも宣言。特に、「小型モジュール炉(SMR)」と呼ばれる小型原子炉を開発し、放射性廃棄物の管理を改善するとした。(c)AFP