【10月1日 AFP】英国のスポーツ評議会平等グループ(SCEG)は30日、トランスジェンダー選手の包括が、公平性や安全性と「一つの競技モデルの中で共存することは不可能」であるとする新たな検証報告を発表した。

 エリートレベルではない競技におけるトランスジェンダー選手の参加に関して検証を行ったSCEGは、包括性を追求するのか、あるいは「競技の公平性」や安全性を優先するのかについては、各競技の統括団体が決める必要があるとの見解を示した。

 検証の結果、格闘技や体をぶつけ合う競技では、包括性よりも安全性もしくは「競争力の公平性」が優先される可能性が指摘された。さらに、解決策として既存部門の男子と女子に加え、新たに「オープン」あるいは「ユニバーサル」のカテゴリーを追加することが提案された。

 今回の提言は、国際レベルやプロ、エリートレベルの競技ではなく、地域スポーツから全国レベルの大会を対象にしたものとなっている。

 報告書ではまた、「性別が影響する競技においては、テストステロン値を抑制することが、トランスジェンダーの女子選手と生来の女子選手の公平性を担保する可能性は低い」とされ、「平均的な女性と、平均的なトランスジェンダーの女性もしくは出生時は男性だったノンバイナリーの人とを比較した場合、筋力やスタミナ、体格の面で差は残っている」と指摘された。

 今年の東京五輪では、ニュージーランドのローレル・ハバード(Laurel Hubbard)がトランスジェンダー選手として史上初の五輪出場を果たし、重量挙げ女子87キロ超級に出場した。

 一方、ワールドラグビー(World Rugby)は昨年10月、トランスジェンダーの女子選手がエリートおよび国際レベルの女子大会へ出場することについて、「安全性の観点」から認めないと決定した初めての国際スポーツ連盟となった。

 SCEGは今回の提言が、スポーツに参加する全ての人々にとって「閉鎖的ではなく開放的」な機会になることを願っていると述べた。(c)AFP