【10月1日 AFP】2016年リオデジャネイロ五輪のボクシング競技で、金銭目的による試合結果の不正操作が行われ、国際ボクシング協会(AIBA)の関係者らが関わっていた可能性があることが、30日に発表された独立調査チームの報告書で明らかになった。

 カナダ人弁護士のリチャード・マクラーレン(Richard McLaren)氏が主導する調査チームは、「リオ五輪において、関係者による試合の不正操作システムが存在していた」と報告した。汚された試合の具体的な数は把握できなかったとしながらも、最大で11試合に上る可能性があるという。

 報告書では、「AIBAでは試合の不正操作や汚職が長期にわたり行われていた」とされ、同協会で当時会長を務めていた呉経国(Wu Ching-kuo)氏と元運営責任者のカリム・ボウジディ(Karim Bouzidi)氏が、共謀して不正行為を可能にしていたと補足された。マクラーレン氏によれば、両氏が「不正操作の横行を許す土壌を構築した中心人物」だったという。

 具体的な選手名や陣営については名指しされなかったが、AIBAがつくり出した「恐怖、脅し、服従の文化」の下、「従順な共犯の」レフェリーや審判員が「試合の不正操作」に関与する、広大なネットワークの存在が指摘された。

 AIBAは今回の報告書を受けて、「2016年リオ五輪のボクシング競技に関する調査結果を懸念を持って受け止めており、現在行われているAIBA主催大会では競技の高潔性を保つべく、大規模な改革が実施されている」とコメントした。

 また、AIBAのウマル・クレムレフ(Umar Kremlev)現会長は「AIBAがマクラーレン教授を雇用したのは、何も隠すことがないからだ」と述べ、「示された有益な提案を取り入れる作業を行う」と語った。「不正行為への関与が発覚した人物に対し、どのような措置が可能なのかについては、法的な助言も受け入れていく」 (c)AFP