【9月22日 AFP】米民主党のチャック・シューマー(Chuck Schumer)上院院内総務は21日、ハイチなどから南部国境に殺到している不法移民の国外退去を中止するようジョー・バイデン(Joe Biden)大統領に要請した。バイデン政権は移民制度のゆがみや移民への虐待とみられる行為をめぐり、激しく非難されている。

 ハイチ出身者を中心とする大勢の不法移民がメキシコとの国境に押し寄せており、ある共和党上院議員はバイデン政権にとって「とてつもない大惨事」と呼んだ。

 税関・国境警備局(CBP)は、不法移民の「大部分」を、ドナルド・トランプ(Donald Trump)前政権が導入した移民抑制政策「タイトル42(Title 42)」に基づき国外退去させる方針を示している。「タイトル42」は不法移民が新型コロナウイルスの感染を拡大させかねないとして、南部国境からの入国を大幅に制限するもの。

 シューマー氏は上院で「こうした国外退去を直ちに中止し、南部国境でのタイトル42の適用を終わらせるよう(中略)バイデン大統領に要請する」と述べた。「わが国の難民法を無視する、憎悪と排外主義に満ちたトランプ前政権の政策を維持することはできない」

 米政府は先週末から、ハイチ出身者を政治的混乱が続き、最近地震にも見舞われた本国に空路で送還している。

 AFPフォトグラファーのポール・レイチ(Paul Ratje)が、南部国境で馬に乗った国境警備当局者が縄を振って移民を脅し、リオグランデ(Rio Grande)川に押し戻しているとされる場面を撮影。ソーシャルメディアで拡散したことで、「移民危機」はさらに深まっている。

 バイデン氏はニューヨークで開かれた国連総会(UN General Assembly)で報道陣に写真について問われると、「管理していく」と述べた。(c)AFP/Frankie TAGGART