【9月17日 AFP】陸上指導者のアルベルト・サラザール(Alberto Salazar)氏に一連のドーピング違反によって科された4年間の資格停止処分は16日、スポーツ仲裁裁判所(CAS)によって支持された。

 ナイキ・オレゴン・プロジェクト(Nike Oregon Project)の元責任者で、五輪で四つの金メダルを獲得した男子長距離のモハメド・ファラー(Mohammed Farah、英国)らを指導したことで知られる63歳のサラザール氏は、2019年に資格停止処分を言い渡された。

 CASは同氏の下で働いていた内分泌学者ジェフリー・ブラウン(Jeffrey Brown)博士に関しても、同等の処分を支持。発表文で、両氏が「ADRV(反ドーピング規則違反)を繰り返しており、彼らに科された4年間の資格停止処分は妥当であると認められる」と説明した。

 サラザール氏は2年前の第17回世界陸上ドーハ大会(17th IAAF World Championships in Athletics Doha)の最中に、米国反ドーピング機関(USADA)の調査によって処分を科されていた。

 USADAのトラビス・タイガート(Travis Tygart)最高経営責任者(CEO)は、「ナイキ・オレゴン・プロジェクトの問題がこのような決着に至るまで、長く難しい道のりだった」としつつ、「しかし、コーチのアルベルト・サラザール氏とジェフリー・ブラウン博士の度重なる規則違反と4年間の資格停止処分をCASの委員会が支持したことを喜んでいる」と述べ、裁定を歓迎した。

 サラザール氏はすでに、米国セーフスポーツセンター(US Center for SafeSport)の調査で性的および精神的虐待行為の証拠が見つかったとして、永久追放処分を受けている。

 この処分は、現在は閉鎖されているオレゴン・プロジェクトでトレーニングを行っていた女子ランナーのグループが、サラザール氏から精神的な嫌がらせや言葉による虐待を受けたとの証言を受け、7月に確定した。(c)AFP