【9月17日 AFP】オーストラリアが、フランスと交わしていた潜水艦の大型契約を破棄し、米国製の原子力潜水艦を配備すると決めたことを受け、フランスは16日、豪政府の「裏切り」を非難し、米国はドナルド・トランプ(Donald Trump)前政権と同様の行動を取ったと批判した。

 フランスのジャンイブ・ルドリアン(Jean-Yves Le Drian)外相は公共ラジオ局フランス・アンフォ(France Info)に対し、「これはまさに裏切り行為だ。オーストラリアと築いてきた信頼関係が裏切られた」と主張。

「私はきょう、大いに怒り、恨んでいる。これは同盟国同士がすることではない」と述べ、オーストラリアはフランスとの契約をどう破棄するのか説明する必要があると指摘した。

 米国については、「この一方的で突然かつ予測不可能な決定は、トランプ氏の行動と非常に似ている」と断じ、今回の事態は「受け入れられない」もので、「理解不能」だとした。

 米ホワイトハウス(White House)の高官はAFPに対し、米国はこの件についてフランスと事前協議していたと説明。だが仏大使館の報道官はこれを否定し、事前協議はなかったと主張した。

 フランスの政府系造船企業ナバル・グループ(Naval Group)は、開発中のバラクーダ(Barracuda)級原子力潜水艦を基にした通常動力型潜水艦12隻をオーストラリア向けに建造する企業として選ばれていた。受注額は2016年の契約発表時で約500億豪ドル(約4兆円)だった。

 しかし、ジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領と豪英両国の首相は15日、新たな安全保障協力の枠組み「オーカス(AUKUS)」を発表し、オーストラリアへの原潜配備を表明。米国はごく一部の同盟国にしか原潜を提供しておらず、オーストラリアはその特権を得た形となった。

 米英豪の新たな安保協力は、インド太平洋地域で影響力を拡大する中国への懸念を反映している。同地域ではフランスも、海外領土のニューカレドニア(New Caledonia)や仏領ポリネシア(French Polynesia)を含む自国の利権保護に努めている。(c)AFP