【9月16日 AFP】米国体操連盟(USA Gymnastics)の元チーム医師ラリー・ナサール(Larry Nassar)受刑者(58)が長年にわたり選手らに性的虐待を行っていたとされる問題で、被害を公表したシモーネ・バイルス(Simone Biles)選手(24)らが15日、上院司法委員会(Senate Judiciary Committee)の公聴会で証言し、迅速な対処を怠ったとして、同連盟と米国オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)、連邦捜査局(FBI)を強く非難した。

 公聴会ではバイルス選手の他、元選手のマッケイラ・マロニー(McKayla Maroney)氏、アレクサンドラ・レイズマン(Alexandra Raisman)氏、マギー・ニコールズ(Margaret "Maggie" Nichols)氏が証言。FBIの怠慢を非難すると同時に、米国体操連盟とUSOPCの上層部にも厳しい言葉を投げかけた。

 五輪で計7個のメダルを獲得し、体操世界選手権で史上最高の成績を収めているバイルス選手は、「私たちは見捨てられた。答えを得る権利がある」と主張。「FBI、USAG(米国体操連盟)、USOPCで、私たちを守るために必要なことをした人が誰もいなかったために、私たちは苦しみ、今も苦しみ続けている」と訴えた。

 ナサール受刑者は、スポーツドクターとして20年以上にわたり米国体操連盟やミシガン州立大学(Michigan State University)で勤務していた際、女子選手や少女らに性的暴行を繰り返したとされる。2017年から18年に行われた裁判で有罪を認め、現在は終身刑に服している。

 被害を告発した女性は数百人に上り、五輪出場選手や大学アスリートも含まれる。米国体操連盟は15年7月、ナサール受刑者に対する疑惑をFBIに通報したが、16年9月に新聞社がこの問題を報じるまで、同受刑者はミシガン州立大学で勤務し続けていた。(c)AFP