【8月28日 AFP】ショートヘアの女子五輪金メダリストへのバッシング、女性に一定割合の議席などを割り当てるクオータ制や男女平等を目指す政府機関の廃止を要求する声──。韓国でフェミニズムへの反発が強まり、大統領選の候補者らまで参戦する事態に至っている。

 韓国は世界の国内総生産(GDP)ランキングで12位の技術大国だが、いまだ男性優位の社会で、ジェンダーギャップの是正は遅れている。

 近年、そうした風潮に抗議する運動が起こり、若い女性たちが人工妊娠中絶を禁じる法律の廃止を訴えて闘い、セクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)の告発運動「#MeToo(私も)」や盗撮の厳罰化を求める運動を組織。そうした運動に触発されて行われた女性の権利を要求するデモは、韓国史上最大規模となった。

 運動に賛同する最も過激な人々の中には、自分は結婚しない、子を持たない、男性とはセックスしないとまで宣言する女性もいる。韓国社会に要求される美の基準に異議を唱えた女性たちが、自分の化粧品を粉々にする様子を撮影した動画もネットで拡散した。

■ネットに広がる激しい反発

 今、ネットにはそうした動きに対する激しい反発が広がっている。

 右派である場合も多い反フェミニズムを唱える人々は、東京五輪の大会中、女子アーチェリーで三つの金メダルを獲得した韓国の安山(アン・サン、An San)選手を、髪が短いことを理由に中傷し、メダルの返上と謝罪を要求した。

 あるグループは、ユーチューブ(YouTube)チャンネルを2月に立ち上げ、30万人を超える登録者を集めている。オンラインでのキャンペーンは時に過激で、これまでにも複数の企業と行政に抗議し、謝罪を引き出している。抗議理由は、親指と人さし指でものをつまむような形の絵を広告で使用したというもので、同グループは、「男性を嫌悪する過激なフェミニスト」がこのジェスチャーで小さなペニスをやゆしていると主張している。

 保守系の主流派の政治家たちも、社会に広がった反フェミニズム感情に便乗し、女性家族省の廃止を公約に掲げている。その中には大統領選候補者も2人いる。