■米国、カナダでは未承認

 日本がイベルメクチンの使用を承認したとする誤った情報は、北米のSNSで拡散されたが、同薬剤は米国やカナダでは新型コロナの治療薬として承認されていない。

 最近、同薬剤の処方が急増していることから、米疾病対策センター(CDC)は、誤用した場合の悪影響を警告している。

 CDCの報告では、家畜用イベルメクチンを自らの判断で服用し、深刻な中毒症状を引き起こす人が増加している。

 米食品医薬品局(FDA)も8月31日、以下のように警告した。「全米の中毒事故管理センターによると、動物用のイベルメクチンを服用した後、健康被害を訴える人の報告例が急増している」

 FDAの報道官は9月3日、AFPに対し、「FDAは現在、イベルメクチンを人間の新型コロナの感染予防薬や治療薬として認可していない」と述べ、「これまでに公表された臨床試験の結果にばらつきが出ている」と説明した。

 カナダ保健省も8月31日、新型コロナの治療にイベルメクチンを使用しないよう注意を促した。

「動物用の医薬品を絶対に服用しないこと。健康に重大な影響を及ぼす可能性がある」とした上で、家畜用・人間用のイベルメクチンを新型コロナ予防・治療のために使用しないよう国民に呼び掛け、いずれのイベルメクチンに関しても、これらの用途で使用された場合に「安全もしくは有効というエビデンスはない」としている。(c)AFP