【9月13日 AFP】12日に行われた全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2021)の男子シングルス決勝で敗れ、年間グランドスラムを逃したノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)が、試合後に涙を流し、悲しさと同時に安堵(あんど)感も覚えていることを明かした。また敗戦に打ちひしがれながらも、温かい応援を送った観客に感謝した。

 ダニール・メドベージェフ(Daniil Medvedev、ロシア)に4-6、4-6、4-6で敗れ、1969年以来の年間グランドスラムを逃したジョコビッチは、敗れた瞬間の気持ちについて「ホッとした。終わってうれしかった」と話した。

「この大会に向けた準備期間や、この2週間の大会中に向き合った精神的、感情的なすべてが、ひたすらに重かった。たくさんのことに対応しなければならなかった」

「やっと終わったのがうれしかった。同時に悲しさや失望も味わったが、観客と、彼らがつくり出してくれた特別な瞬間への感謝の気持ちも抱いている」

 全米オープン4勝目と、ラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)とロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)を上回るグランドスラム最多21勝目も逃したジョコビッチは「いろいろな感情が渦巻いている」と話している。

「ある部分ではとても悲しい。たくさんのものが懸かっていたことを考えれば、受け入れるのが難しい敗戦だ。その一方で今回は、ニューヨークでは今まで一度も感じられなかったものを感じられた。観客が、とても特別な気持ちにさせてくれた。うれしい驚きをくれた」

 2セットを先行され、さらに2ブレークを奪われた状況で、観客は気持ちで反撃するジョコビッチに声援を送った。ジョコビッチは「観客からあれだけのサポートとエネルギー、愛情をもらったことは一生忘れない」と話し、「チェンジコートのときに涙を見せたのはそれが理由だ。とても大きなエネルギーに感極まった」と明かした。

「グランドスラム21勝目を得るのと同じくらい強烈なものだった。だからこそ、とても特別に感じたんだ。心を動かされた。こういう瞬間を大切にしたい。ただ素晴らしかった」 (c)AFP/Jim SLATER