【9月13日 AFP】12日に行われた全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2021)の男子シングルス決勝で勝利し、大会を制したダニール・メドベージェフ(Daniil Medvedev、ロシア)が、観客の妨害に遭いながらも四大大会(グランドスラム)初優勝を果たした喜びをかみしめた。

 年間グランドスラムを狙ったノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)を6-4、6-4、6-4のストレートで破ったメドベージェフは、「間違いなく、相手はベストの状態ではなかった。もっといいプレーをするところを見たことがある」と話しながらも、「仮にベストだったら対抗できたかという話だが、それは誰にも分からないことだ。とにかく勝ててうれしい」と喜んだ。

 メドベージェフはこれまで2019年の全米オープン決勝でラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)に、今年の全豪オープン(Australian Open Tennis Tournament 2021)決勝でジョコビッチに敗れていたが、ついに壁を破った。メドベージェフは「すごく幸せだ。自分にとって初めてのグランドスラムのタイトルだ」と話し、「本当にうれしい。とても大きな意味のある優勝だ。もちろん、これから何日かはお祝いする」と続けた。

 最終セットのサービングフォーザチャンピオンシップのゲームでは、一部の観客がやじを飛ばして邪魔しようとする場面もあった。そのせいもあってか、メドベージェフはダブルフォールトで2回チャンスを逃したが、最後はジョコビッチのリターンがネットにかかって勝利を収めた。

 メドベージェフは「当然つらかった」と明かし、「集中するしかないと思っていた。もし5-5に並ばれたり、自分が冷静さを失ったりしていたらどうだったかは分からない」とコメントした。

「自分自身と、勝つためにやらないといけないことに集中すべきだと分かっていた。もちろん、僕への攻撃というよりは、相手への応援だったとは思う。みんな彼が年間グランドスラムを達成するところを見たがっていた」

「とはいえ、いくつかダブルフォールトを犯したのはそれが理由だ。だからこそ、3本目のマッチポイントで、ファーストサーブが何とか入ったことが格別うれしい」

 世界ランキングでまだトップに立った経験はないメドベージェフだが、今回グランドスラム初優勝を果たしたことで、いずれは1位を目指したくなるかもしれないという。現在世界2位のメドベージェフは「グランドスラムを勝てただけで幸せだ。(世界1位は)今年達成したい一番の目標ではない。いつか到達できれば最高だ」と話している。(c)AFP/Jim SLATER