「タリバンから暴行受けた」 抗議デモ取材のアフガン記者、体中にあざ
このニュースをシェア
【9月9日 AFP】アフガニスタン首都カブールで抗議デモを取材していたアフガニスタン人ジャーナリスト2人が、イスラム主義組織タリバン(Taliban)の戦闘員から暴行を受け、数時間にわたり拘束されていたと語った。両氏は体にできたみみず腫れやあざを見せながら、その様子を証言した。
8日に警察署前で行われた抗議デモを取材していた両氏は、そこから市内の別の警察署へと連行された。デモを主催したとの嫌疑をかけられた両氏は、素手で殴られたり、棒や電気コード、むちで打たれたりしたという。
カメラマンのネマトゥラ・ナクディ(Nematullah Naqdi)氏はAFPに対し、戦闘員に頭を踏まれたり蹴られたりされ、顔をコンクリートに押し付けられたと語り、「殺されると思った」と振り返った。
タリバンは、より寛容な政権を約束したにもかかわらず、急拡大する反タリバン派の弾圧に乗り出している。8日夜には、法務省の認可を得ていない抗議デモは違法だと宣言した。
現地紙エティラート・ロズ(Etilaat Roz)に勤務するナクディ氏と記者のタキ・ダリアビ(Taqi Daryabi)氏は、女性らが警察署前で行っていた、労働と教育の権利を求める小規模な抗議デモの取材を任されていた。
ナクディ氏は、取材中にタリバン戦闘員3人に取り押さえられ、警察署に連れて行かれた。暴行を受ける理由を戦闘員に尋ねたところ、「お前は運が良い、斬首されなかったのだから」という言葉だけが返ってきたという。
両氏は数時間後、説明もなく解放され、侮辱的な言葉を浴びせられながら追い払われた。タリバン戦闘員は「われわれを敵視している」と、ダリアビ氏は語った。
AFPはタリバン上層部に繰り返しコメントを求めたが、現時点で回答は得られていない。
タリバンはイスラム教の原理にのっとって報道の自由を守ると表明しているが、具体的な説明はない。一方、抗議デモを取材するジャーナリストらが嫌がらせを受ける事例が増えている。
ここ数日だけでジャーナリスト数十人が、暴力や拘束、抗議デモの取材妨害を受けたと報告している。抗議デモは、1990年代のタリバン政権下では考えられなかった抵抗の表れだ。
被害に遭ったジャーナリストの大半はアフガン人で、外国メディアの記者よりもタリバンの標的になりやすいとされる。
エティラート・ロズのザキ・ダリアビ(Zaki Daryabi)編集長はAFPに対し、タリバンの言葉には空虚な響きしかないと指摘。タリバンの公式発表は、「現場で目撃されている現実とは大きく乖離(かいり)している」と述べた。(c)AFP/Emmanuel DUPARCC