【9月11日 AFP】アフリカ東部ケニアで初めて実施された野生動物版「国勢調査」の結果が先月30日に発表され、密猟取り締まりの努力が実を結んでいることが明らかになった。政府は、自然保護の取り組みにおいて、調査は重要な役割を担うと指摘している。

 調査結果によると、国内で生息が確認されたゾウの個体数は3万6280頭で、密猟が最も盛んだった2014年から12%の増加となった。

「絶滅の危機にある動物種に関わる犯罪に対して、罰則が強化されたことが奏功したとみられる」と報告書は指摘している。対象となったのは、ケニアの国土59%に生息する動物30種だ。

 国際自然保護連合(IUCN)は3月、アフリカ全土でゾウの生息数が激減したのは、密猟と土地利用の転換などによる生息地の破壊のためであると警告していた。

 サバンナゾウの個体数は過去50年で少なくとも60%減少しており、IUCNが絶滅危惧種をまとめた「レッドリスト(Red List)」の最新版では「危機(EN)」に分類されている。

 報告書は、ライオン、シマウマ、ヒロラ、3種のキリンの個体数も増加としたが、比較対象となった過去のデータについては明記していない。

 サイの個体数は1739頭だった。その内訳は、深刻な危機的状況にあるクロサイ897頭とミナミシロサイ840頭、そして世界最後のキタシロサイ2頭だ。観光地のマサイマラ国立保護区(Masai-Mara National Reserve)がウシカモシカ約4万頭の生息地となっていることも分かった。

 ナジブ・バララ(Najib Balala)観光・野生生物相は「これほどの情報が得られたことで、(中略)わが国の自然保護の取り組みを維持・改善するために介入が必要な分野において政策、企画、評価の見直しが可能になる」と報告書の中で述べている。

 一方、特別な注意を必要とするのは、セーブルアンテロープやマウンテンボンゴといったアンテロープ数種で、個体数はそれぞれ100頭を下回っている。報告書は緊急策が取られない限り、これらの種は絶滅しかねないと警鐘を鳴らしている。(c)AFP/Hillary ORINDE