【8月23日 AFP】米国のカマラ・ハリス(Kamala Harris)副大統領は23日、アジア歴訪の最初の訪問地シンガポールで、米国によるアジアへの「永続的な関与」を約束した。アフガニスタンで、米軍撤収に伴いイスラム主義組織タリバン(Taliban)が権力を掌握する中、米国のアジアへの関与を強調し、安心感を与える狙いがある。

 1週間前のタリバン復権と、大勢が必死で国外退避を試みるアフガニスタンの窮状は、世界の超大国としての米国の地位に影を落としている。

 シンガポールやベトナムを訪問するハリス氏は、米国の信頼性を繰り返し強調。シンガポールのリー・シェンロン(Lee Hsien Loong)首相と臨んだ記者会見では、「わが政権はシンガポール、東南アジア、インド太平洋への永続的な関与を約束する」と明言し、「私がここにいる理由は、米国が世界のリーダーであり、その役割を真摯(しんし)に担っていくためだ」と述べた。

 一方、米国の信頼性がアフガニスタンでの失策によって損なわれているかとの質問には回答を避け、米政府は「アフガニスタン市民、米国に協力したアフガン人、女性や子どもをはじめ弱い立場にあるアフガン人の避難」に重点を置いていると述べるにとどまった。

 ジョー・バイデン(Joe Biden)政権は、ドナルド・トランプ(Donald Trump)前政権下で混乱が生じたアジア諸国との関係を修復するとともに、攻勢を強める中国に対抗し安定をもたらす国というイメージを打ち出していくことを目指している。

 しかし専門家らは、1996~2001年の残忍な統治で知られるタリバンが権力を掌握したことに加え、米国が訓練したアフガニスタン部隊がたちまち崩壊したことで、米国の信頼性に再び懸念が生じていると指摘する。(c)AFP/Martin Abbugao