【8月14日 AFP】パイナップルを漬けたお湯を飲むとがん細胞が死滅するとの情報が、インスタグラム(Instagram)やフェイスブック(Facebook)で拡散し続けている。しかし、この情報は誤解を招くもので、専門家らは、パイナップルを漬けたお湯ががん治療に有効であることを示す十分な証拠はないと指摘する。

 先月27日にインスタグラムに投稿された同様の情報には、6600を超える「いいね!」が付いた。

 投稿にはフェイスブックの投稿のスクリーンショットが添付され、「パイナップルを漬けたお湯で一生救われる」といった文や、「パイナップルのお湯はがん細胞を死滅させる!」との文も添えられていた。

■証拠不十分

 専門家らによると、パイナップルには健康に良い栄養素が豊富に含まれてはいるものの、がん治療に有効であることを証明する十分な証拠はない。

 インドネシアがん基金(Indonesian Cancer Foundation)会長のアル・ウィサクソノ・スドヨ(Aru Wisaksono Sudoyo)博士は、「リンゴやアボカドなどの果物のように、パイナップルは健康に良い。健康全般と免疫系の維持にも役立つ」としつつも、「それ以上のことはない」と指摘する。

 パイナップルをはじめ、健康に良い果物や野菜の摂取ががんのリスクを減らすのに寄与することはあるものの、医療やセラピーとは同じではないと認識することが重要だとスドヨ氏は強調した。

 パイナップルに含まれる酵素の一つであるブロメラインは、がん細胞の成長を抑えるための栄養補助食品として研究が進められているものの、人体への効果について何らかの結論を下すような研究は十分に行われていない。

■「奇跡の食品」は存在しない

 仏国立がん研究所(INCU)の広報担当者は以前、がんの治療に役立つ「奇跡の食品」は存在しないと語っている。

 AFPは以前にも、サワーソップやレモン水、アンズの種、タンポポの茎や抽出物といった食品についても、がん治療で効果があるとする情報はデマであると明らかにしてきた。

 また、パイナップルが原料の飲料が新型コロナウイルス感染症に対する「自然治療薬」だとの主張も、うそであると証明している。(c)AFP/Amy Sood