家族と別居…廃ビル拠点に活動続ける医療ボランティア ミャンマー
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【8月12日 AFP】ミャンマー・ヤンゴン北方のタウングー(Taungoo)の廃ビルで、医療ボランティアらが身を寄せ合って暮らしている。僧侶から船乗りの卵まで多様な顔ぶれだが、彼らは感染を恐れる家族から近づかないようくぎを刺されている。
ミャンマーでは、2月のクーデターで実権を握った国軍に対するストライキの影響で、病院職員の数が不足。医療体制が整わず、新型コロナウイルスの感染拡大に拍車を掛けている。
ボランティアのター・ジー(Thar Gyi)さんは、緊急搬送した患者のコロナ陽性が判明してから約3か月間、家族の元に帰っていない。ター・ジーさんをはじめ20人あまりが、廃ビルで共同生活を送っている。
「以来(中略)家に帰って来ないでと言われています。私の荷物はここに送られてきました」と、ター・ジーさんはAFPに語った。
ター・ジーさんのチームは、救急搬送業務を担っている。患者を運んだり、火葬や埋葬のために遺体を引き取ったりしている。
夜になって廃ビルに戻ると、一緒に食事をしたりくつろいだり、携帯電話を触ったりして過ごす。建物はかつて大学の一部だったが、今は使われていない。
ター・ジーさんは海運会社での仕事が決まって船に乗る予定だったが、コロナ禍で保留になってしまった。
ター・ジーさんは他の多くのメンバーと同様にコロナに感染したが、回復。家族からは搬送の仕事を続ける限り、近づかないよう言われている。
チームメンバーのある僧侶は、6月に感染の第3波が訪れてから、僧院を出てこのボランティアチームを組織した。自身もコロナに感染したという。
「みんな救急車が家の前に止まるのを嫌がります」とAFPに語った。
「彼らは逃げ出し、鼻を覆います。(中略)私たちの救急車がウイルスを運んでいると思っているのです」 (c)AFP/Ye Aung THU