【8月10日 AFP】ロードレース世界選手権(WGP 2021)第10戦スティリアGPのMotoGPクラス決勝でまたしても深刻な事故が発生したことを受け、チーム・スズキ・エクスター(Team SUZUKI ECSTAR)のジョアン・ミル(Joan Mir、スペイン)らは、会場のレッドブル・リンク(Red Bull Ring)について「危険だ」と指摘している。

 レッドブルリンクで赤旗中断となる事故が発生するのは3レース連続で、現世界王者のミルと通算7度の年間優勝を誇るペトロナス・ヤマハSRT(Petronas Yamaha SRT)のバレンティーノ・ロッシ(Valentino Rossi、イタリア)は、ターン3を特に懸念している。同サーキットでは、15日にもオーストリアGP決勝が行われる。

 8日に行われたスティリアGP決勝で2位に入ったミルは、「T3(ターン3)はかなり危険だ。特にウエットコンディションのときは本当に危ない」とし、「このトラックではT1(ターン1)とT3がとても危険だ。なぜなら、これらのコーナーは出口が上り坂で、その先は下り坂になっている。そこで何か起きていても何も見えない」と語った。

 問題のレースでは、3周目にレッドブルKTMファクトリー・レーシング(Red Bull KTM Factory Racing)のダニエル・ペドロサ(Dani Pedrosa、スペイン)が転倒。

 数人のライダーは危うく難を逃れたが、アプリリア(Aprilla Racing Team Gresini)のロレンツォ・サバドーリ(Lorenzo Savadori、イタリア)は倒れていたペドロサのバイクに追突し、コース上に残った2台のバイクは炎に包まれた。

 このクラッシュは、昨季のスティリアGPとオーストリアGPの2レースで起きた事故を思い起こさせるものとなった。

 ロッシは今回の事故当日、「きょう起きたことは、どこでも起こり得たことだ」とし、「このトラックは、3~4か所ほど厳しいブレーキングポイントがある。最も危ないのはターン3だ。ここはブレーキングにとって危険な場所でもある」と強調した。

 今回の事故で重傷者が出なかったことは選手たちにとって幸いだった一方で、以前から指摘してきた問題がこれまで聞き入れられていないことに対するいら立ちの声も上がっている。

 アプリリアのアレイシ・エスパルガロ(Aleix Espargaro、スペイン)は、「ここ3年間、いくつか改善の必要があると訴えてきたのに、何も起こっていない」と話し、「何も行われていないことに失望している。僕らがどれほど強く訴えてきたか、想像できないだろう」と語った。

 ライダーたちの抗議の声に直面し、レッドブルリンクは改めて問題の改善を約束したものの、15日のオーストリアGPに関するAFPの取材にはコメントを出さなかった。(c)AFP