【8月9日 AFP】米国で8日、新型コロナウイルスの感染者が新たに11万8000人確認され、1日当たりの感染者数は2月以来最多となった。1日当たりの死者数も、この2週間で89%増加。米国立衛生研究所(NIH)のフランシス・コリンズ(Francis Collins)所長は、米国は感染抑制に「失敗している」と警鐘を鳴らした。

 米国ではすでに世界最多の61万6000人以上が新型コロナ感染で死亡しているが、感染力の高い変異株「デルタ株」の感染拡大で状況は再び悪化。若年層の感染者が増える中、フロリダ州をはじめ全米各地の小児科で医療がひっ迫している。

 8日の米ABCの討論番組「ディス・ウイーク(This Week)」に出演したコリンズ所長は、「本当にこのような状況になるべきではなかった」と述べ、「その点について言えば、そうだ、われわれは失敗している」と認めた。

 デルタ株への懸念から、ワクチン接種希望者は急増している。一方で、接種に懐疑的な市民もまだ大勢おり、特に保守層の多い地域でその傾向が顕著だ。

 コリンズ所長は「もし、もっと効果的に全国民へのワクチン接種を進めることができていたなら、デルタ株の感染急拡大によって今のような状況に陥ってはいなかっただろう」とし、「われわれは今、ひどい代償を支払っている」と語った。

 米国では現在12歳未満はワクチン接種対象外なため、コリンズ所長はもうすぐ始まる新学期に児童のマスク着用を義務化しなければ、感染は「さらに拡大する」と警告。「恐らく学校で集団感染が起き、またリモート授業をしなければならなくなる。それは防ぎたいと思っている」と述べた。

 こうした中、感染拡大が最も深刻な州の一つであるフロリダ州のロン・デサンティス(Ron DeSantis)知事(共和党)が、州内の学校でのマスク着用義務化を禁じる知事命令を出し、物議を醸している。しかし、州内の病院は急増する患者への対応に追われており、一部の校区は知事命令に従わない方針を示している。(c)AFP/Brian KNOWLTON