【8月8日 AFP】新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)で1年延期された東京五輪は、観客という要素が欠けていたかもしれないが、それでも記憶に残る瞬間には事欠かなかった。ここでは今大会の思い出に残るシーンを振り返る。

■スケートボードでの日本勢の活躍

 東京五輪で初めて実施された若者に人気のスポーツ、スケートボードで日本は覇権を握り、開催国のファンはテレビの前で声援を送った。

 日本勢は実施4種目で金メダル3個に加え、銀メダルと銅メダルを1個ずつ獲得。そのメダリストの年齢は22歳、19歳、16歳、13歳、そして12歳と大会側が求めていた若年層だった。

 女子ストリートで優勝した13歳の西矢椛(Momiji Nishiya)は日本史上最年少の五輪金メダリストとなり、女子パークでは12歳の開心那(Kokona Hiraki)が銀メダルに輝いた。

■金メダル協定

 陸上男子走り高跳びでは、ムタズ・エサ・バルシム(Mutaz Essa Barshim、カタール)とジャンマルコ・タンベリ(Gianmarco Tamberi、イタリア)が個人の栄光よりも友情を優先し、その五輪精神が好意的に受け止められた。

 全く同じ成績で並んだ両選手は、決着するまで1回ずつ跳躍する「ジャンプオフ」の実施を告げられると、バルシムが「金メダルを二つもらえないか?」と提案。その答えは「イエス」だったため、けがを乗り越えて五輪にたどり着いた2人のジャンパーは表彰台の頂上を共有した。

■有頂天のオーストラリア代表コーチ

 オーストラリア競泳代表のコーチ、ディーン・ボクソール(Dean Boxall)氏の荒々しく腰を振るセレブレーションは、今大会の出来事がSNS上で話題となった第1号になった。

 女子400メートル自由形で教え子のアリアン・ティットマス(Ariarne Titmus)が最大のライバル、ケイティ・レデッキー(Katie Ledecky、米国)を破るとボクソール氏は狂喜乱舞。歓喜の雄たけびを上げて長髪を振り乱すと、宙を蹴って拳を振り下ろし、最後は透明の柵を腰で突き上げた。

 その後、ボクソール氏は「自分自身が体から出て行ったのだと思う」と話し、興奮のあまりマスクを引き剥がした行為を謝罪している。