【8月7日 AFP】国際オリンピック委員会(IOC)は7日、東京五輪で金メダルを獲得した中国の自転車選手が表彰台で毛沢東(Mao Zedong)のバッジをつけた行為が五輪憲章違反の可能性があるとして警告していた件で、中国側が再発防止を約束したため不問にすると明かした。

 自転車のトラック女子チームスプリントで優勝した鮑珊菊(Bao Shanju)と鍾天使(Zhong Tianshi)は、2日の表彰式で元国家主席の横顔をかたどった赤と金の小さなピンバッジを身につけた。

 この行為を問題視したIOCは、「政治的、宗教的、人種的プロパガンダ(政治宣伝)」を禁止する五輪憲章に違反する可能性があるとして調査に乗り出したが、中国側が再発防止を断言したと明かした。

 IOCの広報理事を務めるクリスチャン・クロウ(Christian Klaue)氏は、「中国側から説明があった。問題のアスリートは警告されたということだった」と明かした。「また、このようなことは二度と起きないと言質を得た。これをもってIOCはこの件を解決済みだと見なす」

 なおクロウ氏は、IOCが今回の行為を五輪憲章違反と捉えているかどうかを明白にしていない。

 東京五輪にあたりIOCは、人種差別に抗議する膝つきなどの競技前の政治的ジェスチャーや表現に関する規則を緩和したが、表彰台での行動については厳しいルールを維持している。

 IOCは当初、陸上女子砲丸投げで銀メダルを獲得し、表彰台で腕をクロスさせて「X」のジェスチャーをし、「抑圧された人たち」との連帯を示したと報じられた米国のレーベン・サンダーズ(Raven Saunders)を調査する意向を示した。

 しかしIOCはその後、サンダーズが母親の死を明かしたことを理由に調査を打ち切っている。(c)AFP