【8月3日 AFP】米国オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)は2日、陸上女子砲丸投げの同国代表レーベン・サンダーズ(Raven Saunders)が、東京五輪の表彰式で抗議のジェスチャーを示したことについて擁護した。

 同種目の銀メダルに輝いたアフリカ系米国人のサンダーズは1日、国立競技場(Japan National Stadium)で行われた表彰式で腕をクロスさせて「X」のジェスチャーを示した。東京五輪の表彰式で選手が抗議行動をするのはサンダーズが初めてだった。

 サンダーズは黒人で、性的少数者(LGBT)の権利の支持に積極的なことでも知られている。

 米国メディアによると、サンダーズは「抑圧された人たち」との連帯を示すジェスチャーだと話しているといい、本人も銀メダル獲得後、「闘っているのに、自分たちの意見を主張する機会がない世界中の人たち」を代表したいとコメントしていた。

 今回の抗議行動に関して、USOPCは同委員会の独自ルールには違反していないと判断したと述べ、国際オリンピック委員会(IOC)やワールドアスレティックス(World Athletics、世界陸連)と協議していると明らかにした。

 USOPCは発表文で、「当委員会は独自調査を実施し、レーベン・サンダーズが表彰式で行った人種的・社会的正義を支持する平和的なジェスチャーは、他の競技者に対して配慮がなされており、デモンストレーションに関連したわれわれの規則に違反していなかったと結論付けた」と述べた。

 USOPCは昨年、表彰台での抗議活動に関する規則を見直し、組織としての姿勢を緩和させた。黒人男性ジョージ・フロイド(George Floyd)さんが白人警官から暴行を受けて死亡した事件を受け、全米で抗議デモが広がったことがきっかけだった。

 IOCは、五輪の表彰式ではあらゆる抗議行動を禁止しているが、大会前にルールを緩和し、競技前の平和的な抗議については認めた。ただし、表彰台での抗議行動については厳しいルールを維持している。

 専門家によると、制裁を科した場合は世間の反発が予想されるため、IOCが厳しい対応を取る可能性は低いという。(c)AFP