【8月1日 AFP】新型コロナウイルスの変異株「デルタ株」が妊娠している女性の重症化リスクを高める恐れがあるとの研究結果が英国で発表され、英保健当局は妊婦にワクチン接種を急ぐよう呼び掛けている。

 先月25日、英産科監視機構(UK Obstetric Surveillance System)が集めた全国調査のデータをまとめた論文がオンラインに掲載され、デルタ株が今年5月に猛威を振るいだして以降、中等症・重症で入院する患者における妊婦の割合が「著しく」増加したと指摘。

 論文を執筆したオックスフォード大学(University of Oxford)の研究者らによると、デルタ株の感染拡大期に入院した妊婦は肺炎を患う確率が高く、3分の1は呼吸補助が必要だった。

 また、今年2月以降に新型コロナ感染症の症状で入院した約3000人の妊婦のうち、ワクチン接種を完了していた人は一人もいなかったという。

 世界保健機関(WHO)の予防接種部門を統括するケイト・オブライエン(Kate O'Brien)氏は今週、妊娠によって重症化リスクが高まることが確認されたと指摘。

 ソーシャルメディア上で開かれた質疑応答セッションでオブライエン氏は、妊娠は重症化のリスクを高めると述べた上で「おなかが大きくなり、肺活量が減少する妊娠後期においては特にリスクが高くなるだろう」との見解を示した。

 英国王立産婦人科学会(Royal College of Obstetricians and Gynaecologists)が今年5月に実施した調査によれば、ワクチン接種を勧められた妊婦のうち58%は接種を拒否。多くは胎児に対する悪影響を懸念していたほか、安全性に関するさらなる情報を待っている状態だとした。(c)AFP