【7月28日 AFP】米国で今年1月6日に起きた連邦議会襲撃事件をめぐる調査で下院特別委員会は27日、初の公聴会を開催し、警察官4人が暴徒との激しい衝突について生々しい証言を行った。

 当局によると、ドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領の支持者数百人が連邦議会議事堂を襲撃してからこれまでの半年間で、530人以上が逮捕された。5人が死亡した暴動をめぐっては、後に警官2人が自殺した他、警官100人以上が負傷した。

 公聴会の冒頭では、身の毛もよだつような事件当時の映像が流された。

 証言に立った警官らは、2020年大統領選でのジョー・バイデン(Joe Biden)氏勝利に対する議会承認を阻止しようとする暴徒から、殴られ、蹴られ、唐辛子スプレーを浴びせられ、殺すと脅され、裏切り者の烙印(らくいん)を押されたと語った。

 米議会警察(US Capitol Police)のアキリーノ・ゴネル(Aquilino Gonell)巡査部長は、「中世の戦いのようだった」と涙をぬぐいながら述べた。「自分はこの入り口を守って、こうやって死んでいくんだと思ったことを覚えている」

 首都警察のダニエル・ホッジス(Daniel Hodges)巡査は、「テロリストらが突破してきて、乱闘になった」と表現した。暴徒の少なくとも1人に目をえぐられそうになったという。

 警官らの、感情的で、時には残酷な描写も挟まれた暴徒に包囲された際の証言は3時間に及び、今後数か月続くと予想される調査を方向付けるものとなった。

 議会襲撃事件をめぐっては、陰謀論が渦巻いている。共和党議員の一部は、1月6日は平和的な抗議デモだったと主張し、大統領選の結果に不正があったとするトランプ氏の根拠のない主張を支持している。

■人種差別発言

 事件当日、首都ワシントンで開催されたトランプ氏の集会にあおられた暴徒は議事堂になだれ込み、ナンシー・ペロシ(Nancy Pelosi)下院議長を捜し回り、「マイク・ペンス(Mike Pence、前副大統領)をつるせ!」と叫んだ。

 米議会警察のハリー・ダン(Harry Dunn)巡査は、超国家主義者や白人至上主義者団体と関係している多くの暴徒から浴びせられた人種差別的な悪罵を振り返った。

 また、首都警察のマイケル・ファノーネ(Michael Fanone)巡査は、暴徒に「裏切り者」と呼ばれ、殴られたり、テーザー銃で撃たれたりして意識を失ったと述べ、「あんなことになるとは、想像だにしなかった」と語った。ファノーネ氏は暴動の最中に心臓発作を起こしたという。

 ゴネル巡査部長は、トランプ氏が暴徒を愛すべき人々と表現したことについて質問されると、「闘い続けるように仕向けた」のは前大統領だと激しく非難した。(c)AFP/Michael Mathes